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【一富士二鷹三茄子】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

「一富士二鷹三茄子」の漫画

【ことわざ】
一富士二鷹三茄子

【読み方】
いちふじにたかさんなすび

【意味】
初夢に見ると縁起がよいとされるものを、よい順に並べた言い方。

ことわざ博士
このことわざは、新しい年のはじめに見る夢の中でも、めでたいものを順に挙げた言い方だよ。
助手ねこ
正月に初夢の話をするときや、年の初めの縁起を喜ぶ場面で用いるニャン。

【英語】
・For the first dream of the New Year, an eggplant is good, a hawk is better, and Mt. Fuji is best.(新年最初の夢では、茄子もよいが、鷹はそれよりよく、富士山がいちばん縁起がよい)

【類義語】
・吉夢(きちむ)
・瑞夢(ずいむ)

【対義語】
・悪夢(あくむ)
・凶夢(きょうむ)

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「一富士二鷹三茄子」の語源・由来

ことわざを深掘り

新たな一年の幕開けに、心躍らせる幸運の知らせ。「一富士二鷹三茄子」は、夢の中に現れるとめでたいとされるものを、順に並べたことわざです。とりわけ新年を迎えて最初に見る夢、すなわち「初夢」に現れる縁起物として、正月らしい晴れやかな空気とともに人々の間に広まりました。

このことわざが今日、どのような意味を持つかは広く知られています。しかし、なぜ富士、鷹、そして茄子という顔ぶれになったのかという点については、古(いにしえ)より一つの解釈(かいしゃく)に定まっていたわけではありません。江戸時代の中ごろには、すでにいくつかの説が語られていました。

古い用例としてしばしば挙げられるのは、1784年(天明4年・江戸時代中期)に編まれた狂歌集『巴人集』です。そこには「初夢まさに見し一富士二鷹三茄子」という一首があり、18世紀後半にはこの言い回しがかなり浸透していたことがわかります。そのわずか後、1786年(天明6年・江戸時代中期)の『譬喩尽(たとえづくし)』にも、このことわざは記されています。ここでは「三の吉夢」として位置づけられており、縁起のよい夢の形として、当時すでに定着していた様子がうかがえます。

由来として最も名高いのは、駿河(するが)の国の名物を順に並べたとする説です。富士山は駿河を象徴する山であり、鷹もまたその土地ゆかりの生き物、そして茄子もその地の名産品として理解されてきました。

また、駿河における「高いもの」を並べたという解釈もあります。この説では、一番に富士山、二番に愛鷹山(あしたかやま)、そして三番には初茄子の値段が挙げられます。山の高さと、物の値の高さを重ね合わせることで、この上ないめでたさを表現しているのです。

さらに、言葉に込められた意味を重ねて縁起を担(かつ)ぐ考え方もあります。富士は高く雄大(ゆうだい)なもの、鷹は獲物を力強くつかみ取るもの、茄子は「事を成す」という言葉に通じるものと受け取られました。そこには、立身出世(社会的に高い地位につき、世の中に認められること)や成功、物事が美しく実ることへの切なる願いが託されています。

もっとも、このことわざは誕生した当初から、今のような完全な形で固まっていたわけではなかったようです。江戸時代前期の書物を紐解(ひもと)くと、「一富士二鷹」までの形であったり、三番目の内容が未(いま)だ定まっていないものも存在したと捉えるのが妥当でしょう。

そのような中で、「三茄子」という取り合わせは、どこか意外で人々の心に深く残るものでした。富士や鷹は、だれもが納得するめでたさの象徴ですが、そこへ茄子が加わることで言葉に妙(みょう)なるおもしろさが生まれ、覚えやすい形として広く語り継がれたのでしょう。

このことわざには、その先へと続く言葉もあります。江戸時代後期の国語辞書『俚言集覧(りげんしゅうらん)』には、「四扇五煙草六座頭」と続く形が記されており、当時の人々が新年の縁起をこのような並べ立てで楽しんでいたことがわかります。

つまり「一富士二鷹三茄子」は、初夢に託した新年の祈りと、江戸に生きる人々の豊かな遊び心が重なり合って育まれたことわざなのです。一見すると簡潔な言葉ですが、その背景には土地の誇りを結びつける考え方や、高いものを並べる知恵、そして言葉の響きを慈(いつく)しむ視点など、幾重(いくえ)もの見方が溶け合っています。このことわざは、夢に希望を託すことの尊さを、現代の私たちにも静かに伝えてくれています。

「一富士二鷹三茄子」の使い方

健太
お正月の朝、初夢の話をしていたら、ぼくは台所のざるに茄子が三つ並んでいる夢しか思い出せないよ。富士山でも鷹でもないから、ちょっと地味かな……
ともこ
茄子でも大丈夫だよ。一富士二鷹三茄子っていうでしょう?初夢に出ると縁起がいいものの三番目なんだよ。
健太
ほんとう? じゃあ、明日の書き初め大会も前向きにがんばれそうだ!さっきまで変な夢だと思っていたよ。
ともこ
うん、年のはじめの夢だから、よいほうに受け取っていいと思うよ。朝ごはんのあと、一緒に書き初めの練習をしよう。
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「一富士二鷹三茄子」の例文

一富士二鷹三茄子
  1. 祖母は、初夢で富士山を見た妹に、一富士二鷹三茄子の一番だから縁起がよいと言った。
  2. 正月の朝、父は一富士二鷹三茄子にあやかって、今年も実りの多い年にしたいと話した。
  3. 友人どうしで初夢の話になり、一富士二鷹三茄子のどれを見たかで大いに盛り上がった。
  4. 新年会のあいさつで、社長は一富士二鷹三茄子を引き合いに出して、明るい一年の始まりを祝った。
  5. 年賀状に一富士二鷹三茄子の絵を添えると、正月らしいめでたさがよく伝わる。
  6. 茄子の夢を見ただけでも、一富士二鷹三茄子の一つに入ると知って、少しうれしくなった。




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