【奇を衒う】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

奇を衒う

【慣用句】
奇を衒う

【読み方】
きをてらう

【意味】
わざと普通と違ったことをして、人の注意を引こうとすること。

ことわざ博士
奇を衒うは、珍しさや風変わりさを見せつけて目立とうとする態度を表す言い方だよ。
助手ねこ
文章、発言、服装、発想、企画などが、内容よりも人目を引くことに傾いている場面で用いるニャン。

【英語】
・try to be different.(人と違って見せようとする)
・make a display of eccentricity.(奇抜さを見せびらかす)

【類義語】
・奇抜(きばつ)
・突飛(とっぴ)
・此れ見よがし(これみよがし)

【対義語】
・正攻法(せいこうほう)
・堅実(けんじつ)

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「奇を衒う」の語源・由来

慣用句を深掘り

「奇を衒う」は、「奇」と「衒う」という二つの言葉が結びついた慣用句です。「奇」は、めずらしいこと、普通でないことを表す漢字です。

「衒う」は、自分の学識・才能・行為などを誇って、言葉や行動にちらつかせることを表します。つまり「奇を衒う」は、普通でないことをあえて見せ、人の目を引こうとする言い方です。

「衒」という字には、「てらう」「みせびらかす」「ひけらかす」のほか、「うる」「売りこむ」という意味もあります。人前に出して見せ、目立つようにする、という方向の意味をもつ字です。

「てらう」という動詞そのものは、古くから使われています。『日本書紀(にほんしょき)』(720年・奈良時代、舎人親王ら編)雄略天皇十三年三月の歌謡には、「山辺の 小島子ゆゑに 人涅羅賦(ひとテラフ) 馬の八匹(やつぎ)は 惜しけくもなし」という古い例が出てきます。

この古い例では、現代の「奇を衒う」と同じ形ではありません。しかし、「てらう」という言葉が、人に見せる、誇って示す、という意味の流れをもっていたことを示す大切な用例です。

平安時代の漢詩文集『本朝文粋(ほんちょうもんずい)』(1058年ごろ成立、藤原明衡編)にも、「衒其才名」という表現が出てきます。これは、自分の才や名を人に示し、誇るという意味で用いられています。

江戸時代初期の『信長記(しんちょうき)』(1622年刊、小瀬甫庵著)にも、「小人は舌をもって学を衒(テラ)ふ」とあります。ここでは、学問を本当に身につけるのではなく、口先で学問をひけらかす態度を表しています。

このように、「衒う」は、古くは才能や名声、学問を人に見せびらかす意味で使われてきました。その対象が「奇」、つまり普通でないことや珍しいことに向いたとき、「奇を衒う」という形になります。

「奇を衒う」というまとまった形での近代の用例としては、宮武外骨の『奇想凡想(きそうぼんそう)』(1920年・大正9年)に、「殊更に奇(キ)を衒(テラ)って、極めて類例の尠い名を附ける者もあるが」という文が出てきます。ここでは、わざと珍しい名をつけて人目を引こうとする態度を述べています。

この用例からも分かるように、「奇を衒う」は、ただ新しい工夫をすることではありません。人の注意を引くために、普通と違うことをわざとする、というところに意味の重点があります。

そのため、すぐれた独創性をほめる言葉というよりも、わざとらしさや見せびらかしを少し批判していう場合が多い表現です。新しさそのものではなく、人目を引くための不自然な目立たせ方をいうところが、現在の意味の芯です。

また、この言い方では「奇を狙う」ではなく、「奇を衒う」が定まった形です。「衒う」という言葉に、ひけらかす、見せつけるという意味があるためです。

「奇を衒う」の使い方

健太
今度の自由研究のテーマ、だれも思いつかないような宇宙人の存在証明にしようと思うんだ。
ともこ
それはおもしろそうだけど、実際に証明するのはすごく難しくない?
健太
普通のテーマじゃつまらないから、少し奇を衒うくらいがちょうどいいと思ってさ!
ともこ
みんなを驚かせることよりも、自分でしっかり調べられるテーマにするほうが大切だと思うよ。
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「奇を衒う」の例文

例文
  • 奇を衒うだけの広告では、商品のよさがかえって伝わりにくい。
  • 彼の発表は奇を衒う演出が目立ち、肝心の内容が弱くなっていた。
  • 新しい制服案は、奇を衒うよりも、毎日着やすいことを大切にしたほうがよい。
  • その小説は奇を衒う構成ではなく、静かな文章で人物の心を丁寧に描いている。
  • 会議では、奇を衒う意見よりも、実行できる具体的な案が求められた。
  • 奇を衒う名前をつけたため、店の雰囲気がかえって分かりにくくなった。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・藤原明衡編『本朝文粋』1058年ごろ。
・舎人親王ら編『日本書紀』720年。
・小瀬甫庵『信長記』1622年。
・宮武外骨『奇想凡想』文武堂、1920年。


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