【ことわざ】
悪の裏は善
【読み方】
あくのうらはぜん
【意味】
悪いことのあとには、よいことが起こるということ。悪いことばかりが、いつまでも続くわけではないというたとえ。


【英語】
・Every cloud has a silver lining.(悪いことにも明るい面がある)
・After a storm comes a calm.(苦しい時期のあとには穏やかな時が来る)
・Bad times do not last forever.(悪い時期はいつまでも続かない)
【類義語】
・一の裏は六(いちのうらはろく)
・苦あれば楽あり(くあればらくあり)
・禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)
【対義語】
・善の裏は悪(ぜんのうらはあく)
・楽あれば苦あり(らくあればくあり)
・好事魔多し(こうじまおおし)
「悪の裏は善」の語源・由来
このことわざは、人生には悪いことばかりが続くのではなく、その裏返しのようによいことが訪れる、という考え方を表しています。
ここでいう「裏」は、物の反対側や、ひっくり返した面のことです。表と裏の関係を使って、悪と善は一方だけで終わらず、入れ替わることがあると考えた言い方です。
古い文献の中で先にたどれるのは、反対向きの「善の裏は悪」という形です。
1746年(延享3年・江戸時代中期)の浮世草子(うきよぞうし)『和国小姓気質(わこくこしょうかたぎ)』には、その言い方がすでに書かれています。そこでは、よいことが重なったあとに悪い結果がついてくる、という流れの中で使われています。
つまり、このことばの土台にあるのは、善と悪がきっぱり分かれているというより、となり合い、入れ替わり、思いがけず反対へ転じることもある、という見方です。
その考え方を、よいほうへ向けて言い表したのが「悪の裏は善」です。つらい出来事のあとにも、別の面から見れば希望がある、という励ましの響きが強くなっています。
ただし、このことわざは、悪い行いをすればよいことが返ってくる、という意味ではありません。そうではなく、失敗や不運のようないやな出来事が、ずっと同じ形で続くわけではない、という見方を表します。
似た考え方のことばに「一の裏は六」があります。さいころの一の裏が六であることから、小さい目のあとには大きい目もあるという発想で、不運のあとに好転を期待する気持ちを表したものです。
「悪の裏は善」も、それと同じように、落ちこんでいる人をなぐさめたり、気持ちを立て直したりするときに使われます。短い言い方ですが、ただ楽観するのではなく、流れは変わりうるという考えがこめられています。
また、このことわざは、よいことと悪いことが、いつもきれいに交代で来ると決めつけるものでもありません。今の苦しさだけで先を決めず、反対の面が開けることもあると考えるところに、このことわざの大事さがあります。
そう考えると、「悪の裏は善」は、不運の最中に使う慰めのことばであると同時に、物事を一面だけで見ないための教えでもあります。悪い出来事のただ中でも、次に来るよい変化を信じて前を向く気持ちを支えることわざだといえるでしょう。
「悪の裏は善」の使い方




「悪の裏は善」の例文
- 第一希望の部活動に入れず落ちこんだが、別の部でよい先輩に出会い、悪の裏は善を思った。
- 旅行の前日に熱を出して出かけられなかったが、家でゆっくり休んだおかげで体調が整い、悪の裏は善と感じた。
- 模擬試験で大きく点を落としたことで苦手分野がはっきりし、本番で得点が伸びて、悪の裏は善となった。
- 取引が一つ流れて肩を落としたが、そのあとにもっと条件のよい仕事が決まり、悪の裏は善ということになった。
- 会場の都合で町内の催しが延期になったが、準備を見直せたため当日は前よりよい内容になり、悪の裏は善だった。
- 友人との待ち合わせに遅れて映画に間に合わなかったが、その帰り道で探していた本が見つかり、悪の裏は善と思えた。























