【ことわざ】
雨が降ろうが槍が降ろうが
【読み方】
あめがふろうがやりがふろうが
【意味】
どんな困難や障害があっても、いったん決めたことを必ずやりとげようとする強い決意のたとえ。


【英語】
・come rain or shine(何があっても)
・no matter what happens(たとえ何が起こっても)
【類義語】
・石にかじりついても(いしにかじりついても)
・是が非でも(ぜがひでも)
・槍が降っても(やりがふっても)
「雨が降ろうが槍が降ろうが」の語源・由来
「雨が降ろうが槍が降ろうが」は、雨という実際に起こる悪天候に、空から槍が降るという現実にはまず起こらないほど危険な出来事を重ねた言い方です。雨だけでも出かけにくく、物事を進めにくいものですが、そこへ「槍」まで持ち出すことで、どんな障害にも負けない決意を強く表します。
この表現のもとには、「槍が降る」という大げさなたとえがあります。槍は武器であり、雨や雪のように空から自然に降るものではありません。そのありえなさを利用して、「普通の困難どころではないことが起きても」という意味を作っています。
「槍が降っても」という言い方の古い例として、江戸時代後期の雑俳に関わる『俳諧觿(はいかいけい)』(1786年)に「鎗が降っても後家の銭湯」という形が出てきます。この句では、たとえ槍が降るようなことがあっても行動する、という大げさな表現が用いられています。ここから、少なくとも江戸時代には「槍が降る」を、強い障害や困難のたとえとして使う発想が広まっていたことが分かります。
その後、「雨が降っても槍が降っても」「雨が降ろうと槍が降ろうと」など、前半に雨を置き、後半に槍を置く形が定着していきます。雨は実際の悪条件、槍はありえないほど激しい障害を表し、この二つを並べることで、障害の大きさを段階的に強める働きをしています。
昭和期の文章にも、「雨が降っても槍が降っても」という近い形が使われています。正岡容の『小説 圓朝』(1943年、正岡容著)には、どんなことがあっても墓参りに出かけるという文脈でこの言い方が出てきます。また、野村胡堂の『銭形平次捕物控 105 刑場の花嫁』(昭和15年、野村胡堂著)にも、約束の時刻に必ず来るという文脈で同じ形が使われています。
「雨が降ろうが槍が降ろうが」は、こうした言い回しの中で、「雨が降ろうが」「槍が降ろうが」と同じ形をくり返し、語調をそろえた表現です。「が」を重ねることで、どちらの場合であっても、さらにどんな場合であっても、という強い押し出しが生まれます。
現在では、実際に雨の日の行動だけでなく、約束を守る、目標を達成する、仕事や役目を最後まで果たす、といった場面で使われます。ただし、単に「大変だった」という意味ではなく、「それでも必ずやる」という決意を言い表すところに、このことわざの芯があります。
「雨が降ろうが槍が降ろうが」の使い方




「雨が降ろうが槍が降ろうが」の例文
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、父は約束した時間に必ず迎えに来る。
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、代表選手として最後まで練習を続ける覚悟だ。
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、祖母の薬を今日中に届けなければならない。
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、この資料は締め切りまでに完成させる。
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、友人との大切な約束を破るわけにはいかない。
- 雨が降ろうが槍が降ろうが、地域の安全を守るために見回りを続ける。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年。
・雪成ほか編『俳諧觿』1786年。
・正岡容『小説 圓朝』1943年。
・野村胡堂『銭形平次捕物控 105 刑場の花嫁』1940年。























