【ことわざ】
有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金
【読み方】
ありそうでないのがかね、なさそうであるのがしゃっきん
【意味】
人の経済状況は外見だけでは判断しにくく、裕福に見える人でも余裕がなく、借金などの負担を抱える人も少なくないということ。


【英語】
・Appearances can be deceiving(外見はあてにならない)
【類義語】
・有るは借銭、無いは金(あるはしゃくせん、ないはかね)
・ありそうでないのが金(ありそうでないのがかね)
「有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金」の語源・由来
このことわざは、金銭をめぐる日常の経験を、前半と後半の対句で言い表したものです。「金」は貨幣・金銭を指し、「借金」は金銭を借りること、また借りた金銭を指します。そのため、「金」と「借金」を並べることで、外から見えにくい家計の内側を、短く対照的に表しています。
前半の「ありそうでないのが金」は、それだけでも用いられます。この短い形では、人の内情は外見からでは分からず、金がありそうに見えても、実際には意外にないものだという意味を表します。そこへ後半の「無さそうで有るのが借金」が続くと、見た目には分かりにくい負担や返済まで含めて、懐具合は外見だけで測れないという教訓が強まります。
表現の形にも、このことわざの面白さがあります。「有りそうで無い」と「無さそうで有る」が向かい合い、「金」と「借金」が向かい合います。どちらも「外からそう見えること」と「実際の中身」が食い違う形です。言葉の上でも意味の上でも、反対の組み合わせをそろえることで、人の暮らしを見た目で決めつける危うさを印象づけています。
また、この言い方には、「有りそうで無いのは銭金」とする形もあります。「銭金」は金銭を広く指す言い方なので、こちらの形では、手元の現金や財産が思うほどないという面がやや強く出ます。一方、「有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金」と続ける形では、金がないことに加えて、借金が隠れていることまで言い表すため、外見と実情の落差がいっそうはっきりします。
天草の俚諺(りげん)を集めた『天草方言集 第九版』(鶴田功著)にも、「有るは借銭 無いのが銭」に続いて「有りそうで無いのが金 無さそうで有るのが借金」という形が収められています。ここでは、金銭や借銭をめぐる言い方の中に並び、暮らしの実感から生まれた風刺的なことわざとして伝わります。
このことわざは、人を疑えという意味ではありません。立派な家、きれいな服、派手な持ち物を見ただけで「お金がある」と思い込んだり、地味な暮らしぶりだけで「借金などない」と決めつけたりしてはいけない、という戒めです。現在でも、人の生活ぶりを見た目だけで判断しないようにするとき、また自分の暮らしを周りと比べすぎないようにするときに用いることができます。
「有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金」の使い方




「有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金」の例文
- 豪華な車に乗っているから裕福だと決めつけるのは、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金というものだ。
- 派手な暮らしぶりの裏に返済の苦労があると知り、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金を思い出した。
- 友人の家計を外見だけでうらやむのは、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金を忘れた考え方だ。
- 大きな家に住んでいても余裕があるとは限らず、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金と言える。
- 会社の見た目が立派でも資金繰りが苦しい場合があり、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金の例となる。
- 人の持ち物だけを見て暮らし向きを判断しないことは、有りそうで無いのが金、無さそうで有るのが借金ということわざから学べる。
主な参考文献
・小学館『デジタル大辞泉』小学館。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・鶴田功『天草方言集 第九版』刊行年不詳。























