【ことわざ】
飼い鳥を刺す如し
【読み方】
かいどりをさすごとし
【意味】
失敗するおそれがほとんどなく、きわめて簡単であること。


【英語】
・as easy as pie(とても簡単)
【類義語】
・朝飯前(あさめしまえ)
・赤子の手を捻る(あかごのてをひねる)
・寝鳥を刺す(ねとりをさす)
【対義語】
・容易ならぬ(よういならぬ)
・至難(しなん)
「飼い鳥を刺す如し」の語源・由来
「飼い鳥を刺す如し」は、籠や檻の中などで人に飼われている鳥を相手にするほど、失敗しそうになく簡単である、というたとえから生まれたことわざです。飼い鳥は、人間に飼育される鳥を指し、狭い意味では愛玩用の鳥をいうため、野に自由にいる鳥よりも人の手の届く場所にいる存在として思い浮かべられます。
「飼鳥」という言葉そのものは、愛玩用・観賞用として籠や檻の中で鳥を飼うこと、またはその飼われている鳥を表します。古い用例では、狂言『鶯』(室町末〜近世初)に「人のかい鳥をなぜにとるぞ」という形が出てきます。ここでは、飼われている鳥が他人に取られるものとして扱われ、野鳥とは違って、人の持ち物に近い鳥として理解されています。
一方、「刺す」は、ここでは単に刃物で突くというより、鳥を捕らえる行為と結びついて理解できます。「鳥刺」は、竹ざおの先に鳥もちを塗って小鳥を捕らえること、またそれを職業とする人を指します。江戸時代には、幕府に鷹の餌にする小鳥を納めた者も「鳥刺」と呼ばれました。
この「鳥を刺す」という言い方の背景をよく示す近い表現に、「寝鳥を刺す」があります。「寝鳥を刺す」は、ねぐらに寝ている鳥を捕らえることから、無抵抗のものを捕らえるたやすさ、また無慈悲さを表す言い方です。浄瑠璃『吉野都女楠』(1710年ごろか)には、「寐鳥をさすよりいと安し」という用例があり、鳥が逃げにくい状態にあることを、非常に簡単であることのたとえに用いています。
「飼い鳥を刺す如し」は、この「鳥を刺す」という捕獲の比喩に、さらに「飼い鳥」という逃げ場の限られた対象を重ねた表現です。野にいる鳥や飛び立つ鳥ではなく、すでに人に飼われ、籠や檻の中にいる鳥を相手にするため、捕らえる側にとって失敗しにくい様子が強く表されます。
そのため、現在の意味では、残酷さを強調するよりも、「ほとんど失敗しないほど簡単」という点に重きがあります。問題の答えがはっきり分かっている、手順がすべて整っている、相手との差が大きいなど、成功する条件がそろっている場面で用いることわざです。
「飼い鳥を刺す如し」の使い方




「飼い鳥を刺す如し」の例文
- 答えの一覧を見ながら採点する作業は、先生にとって飼い鳥を刺す如しだった。
- 何度も練習した曲を本番で弾くのは、姉にとって飼い鳥を刺す如しだった。
- 全員の出席番号順に並んだ名簿を確認するだけなら、飼い鳥を刺す如しだ。
- 経験豊かな職人にとって、その小さな修理は飼い鳥を刺す如しだった。
- 説明書どおりに部品をはめるだけなので、この組み立ては飼い鳥を刺す如しだった。
- 相手チームの弱点を十分に調べていたため、作戦を立てることは飼い鳥を刺す如しとなった。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館。
・ブリタニカ・ジャパン編『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ブリタニカ・ジャパン。
・HarperCollins Publishers『Collins English Dictionary』HarperCollins Publishers.2026年。























