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【桐一葉】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

桐一葉

【故事成語】
桐一葉

【読み方】
きりひとは

【意味】
桐の葉が一枚落ちるのを見て、秋の訪れを知ること。転じて、わずかな出来事から、物事の衰亡の兆しを感じ取ることのたとえ。

ことわざ博士
桐一葉は、小さな変化に、その後の大きな衰えが先んじて表れていることを示すんだよ。
助手ねこ
組織、家、国家、事業などに生じたわずかな異変を、衰退の前触れとして捉える場面で用いるニャン。

【英語】
・a harbinger of decline.(衰退を告げる前触れ)

【類義語】
・一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる)
・一葉知秋(いちようちしゅう)

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「桐一葉」の故事

故事成語を深掘り

「桐一葉」の「一葉」は、一枚の葉を意味します。由来において念頭に置かれている桐は、中国で「梧桐(ごとう)」と呼ばれる青桐(あおぎり)です。青桐は、夏の終わりに大きな葉を落とし始めるため、その一枚を見れば、まだ暑さの残る時期にも、秋の到来を察することができました。

この表現のもとになった言葉は、『淮南子(えなんじ)』(前漢、紀元前139年成立、劉安編)の「説山訓(せつざんくん)」に出てきます。『淮南子』は、道家思想を基礎として、政治、天文、地理、人生などの幅広い知識をまとめた思想書です。

「説山訓」には、「見一葉落、而知歳之将暮。睹瓶中之冰、而知天下之寒。以近論遠」とあります。一枚の葉が落ちるのを見て一年が暮れようとしていることを知り、瓶の中の氷を見て世の中に寒さが広がっていることを知る、つまり、身近な小さな現象から、遠くの大きな変化を推し量るという意味です。

この原文には、その葉が桐の葉であるとは書かれていません。後の時代になると、早く葉を落として秋を知らせる青桐と結び付けられ、「梧桐一葉落、天下尽知秋」、すなわち、青桐の葉が一枚落ちれば、天下のすべてが秋の到来を知る、という形でも表されるようになりました。

もとの教えは、近くで起きた一つの出来事から、まだはっきりとは現れていない全体の動きを読み取ることにあります。さらに、秋が草木の枯れ始める季節であることから、単なる季節の到来だけでなく、国家、家、組織などの勢いが衰え始めたことを知らせる前触れにもたとえられました。

日本では、まず「桐の一葉」という形が使われました。冷泉為尹の『為尹千首(ためただせんしゅ)』(1415年・室町時代前期)には、「あぢきなや桐の一葉の落ち初めて人の秋こそやがて見えけれ」とあります。桐の葉が落ち始める秋の景色に、人の心が離れていく気配を重ねた歌です。

江戸時代中期の『俳諧百歌仙(はいかいひゃっかせん)』(1756年ごろ、旨原編)には、「我宿の淋しさおもへ桐一葉」とあり、「桐の一葉」から「の」を省いた、現在と同じ「桐一葉」の形が使われています。このころには、秋を知らせる季節の言葉としても定着していました。

俳句では、桐の大きな葉が音を立てて落ちる情景そのものを表す、秋の季語として用います。高浜虚子の「桐一葉日当りながら落ちにけり」は、日の当たる中を、一枚の桐の葉が落ちていく姿を詠んだ句です。一方、日常の文章では、小さな異変から衰亡の始まりを感じ取るという比喩的な意味も保たれています。

明治時代には、坪内逍遥が、豊臣家の衰退を描いた戯曲を『桐一葉』(1894~1895年発表、1904年初演)と名付けました。桐は豊臣家の紋でもあり、作中では、片桐且元が落ちる桐の葉を見て、豊臣家の運命を悟ります。題名には、一枚の葉に一つの家の滅亡の兆しを見るという、この言葉の意味が重ねられています。

このように、「桐一葉」は、一枚の落葉から秋を知るという自然の観察に始まり、わずかな前触れから将来の大きな変化を読み取る教えへと広がりました。現在では、とりわけ、ほんの小さな出来事の中に、衰退や滅亡の兆しがすでに現れていることを表す故事成語として用います。

「桐一葉」の使い方

健太
最近、放課後に図書室で一緒に読書をするメンバーが、一人、また一人と来なくなっているんだ。
ともこ
本当に寂しいよね、今日はついに私たち二人だけになっちゃった。
健太
こういうのを、物事が衰えていく不穏な兆しを感じるという意味で桐一葉って言うのかなあ。
ともこ
まさにその通りだね、またみんなが戻ってくるように新しい楽しい企画を考えてみようよ!
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「桐一葉」の例文

例文
  • 一人の重臣の離反を、国の衰亡を告げる桐一葉と受け止めた。
  • 主力商品の売り上げが落ち始めたことは、会社の将来を暗示する桐一葉となった。
  • 小さな規則違反の増加を、組織全体の乱れを示す桐一葉として見過ごさなかった。
  • 町工場が一軒閉じたことを、地域産業の桐一葉だと案じる声が上がった。
  • 庭に落ちた桐一葉が、まだ暑さの残る朝に秋の訪れを知らせた。
  • 名門チームの連敗は、長い黄金時代の終わりを告げる桐一葉だった。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000~2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・三省堂編修所編『三省堂 故事ことわざ・慣用句辞典 第二版』三省堂、2010年。
・Cambridge University Press & Assessment『Cambridge Dictionary.』
・劉安編『淮南子』紀元前139年。
・冷泉為尹『為尹千首』1415年。
・旨原編『俳諧百歌仙』1756年ごろ。
・坪内逍遥『桐一葉』1894~1895年。





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