「上前を撥ねる」の意味(語源由来・類義語)
【慣用句】
上前を撥ねる
【読み方】
うわまえをはねる
【意味】
人に取り次ぐべき賃金、代金の一部を着服する。
誰かが仕事をして儲けた時、その一部を自分の利益にするということやな。でも、正直に働いて、自分の分だけを得るのが一番ええと思うで。
【語源由来】
「上前」は、江戸時代の年貢米の通行税にあたる「上米」が変化した語。
【類義語】
・ピンをはねる
・ピンはねをする
・頭をはねる
「上前を撥ねる」の解説
「上前を撥ねる」っていう表現は、お金や給料なんかの一部を、こっそり自分のものにすることを言うんだよ。
「上前」っていうのは、利益の一部っていう意味で、「撥ねる」っていうのは、他人の分の一部をちょっとずつ自分のものにする、という意味なんだよ。
この「上前」っていう言葉は、江戸時代の「上米」(うわまい)っていう言葉が元になっているんだ。「上米」っていうのは、お米を運んで、神社の土地や関所を通る時に、その通行料として取られていたお米のことなんだよ。このお米の一部をちょっとずつかすめ取る行為が、「上米をはねる」って言われるようになったんだ。
そしてね、「うわまい」が言葉の変化を経て「うわまえ」になって、最終的に今の「上前を撥ねる」っていう言葉になったんだよ。だから、この表現は、他人の取り分からちょっとずつ自分のものにするという意味なんだね。
「上前を撥ねる」の使い方
「上前を撥ねる」の例文
- 仲介料をとっていないという話だったが、上前を撥ねていることは確かだった。
- この商品を売るなら、彼を頼ればいろんなルートを使ってさばいてくれることは間違いないが、相当、上前を撥ねられるよ。
- がんばって働いたが、上前を撥ねられたので、思ったより給料が少なかった。
- 彼は、土地を転がして上前を撥ねることで成り上がってきた人間なのだから、信用してはいけない。
- 彼は親切なことに、私からびた一文、上前を撥ねることなく仕事を世話してくれた。
「上前を撥ねる」の文学作品などの用例
こういう政江のやり方は、容易に実行出来るものではない。夫の義弟達の上前をはねて憎まれるのも皆夫の為を想うからだ、と堅く腹をくくっていたなればこそではないか。(織田作之助の俗臭より)