【眼光紙背に徹す】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

眼光紙背に徹す

【慣用句】
眼光紙背に徹す

【読み方】
がんこうしはいにてっす

【意味】
書物を読んで、字句の表面だけでなく、その奥にある深い意味まで読み取ること。読解力や理解力が鋭いことのたとえ。

ことわざ博士
眼光紙背に徹すは、文章の文字づらを追うだけでなく、書き手の考えや意図を深くくみ取ることを表すよ。
助手ねこ
読書、批評、研究、資料の読み取りなどで、表面に出ていない意味まで見抜く場合に用いるニャン。

【英語】
・read between the lines.(言葉や文章に明示されていない真意を読み取る)

【類義語】
・行間を読む(ぎょうかんをよむ)

【対義語】
・皮相浅薄(ひそうせんぱく)

「眼光紙背に徹す」の語源・由来

慣用句を深掘り

「眼光紙背に徹す」の「眼光」は、もとは目の光を表しますが、物事の真意を見通す力や観察力という意味でも用いられます。「紙背」は、紙の裏、また文章に直接書かれていない奥の意味を指します。

この二つが結びつくと、目の光が紙の裏まで届くように、文章の奥底まで読み抜くという比喩になります。単に字句を正しく読むだけでなく、言葉の背後にある深意をつかむところに、この慣用句の要点があります。

由来は、江戸時代末期の儒学者、塩谷宕陰の文章「安井仲平の東遊するを送る序」にあります。この文章は、安井仲平、号は息軒の才能をたたえた序文です。

塩谷宕陰は、1809年に江戸で生まれ、昌平黌に学び、のちに幕府の儒官となった江戸後期の儒学者です。考証を重んじ、文章にもすぐれ、『宕陰存稿』などを残しました。

安井息軒は、1799年から1876年まで生きた江戸末期の儒学者です。名は衡、字は仲平で、日向の人であり、飫肥藩校の助教を務めたのち、昌平坂学問所の教授となりました。

安井息軒は、1824年に江戸へ出て昌平黌に入り、学問に励みました。塩谷宕陰はその学問ぶりを見て、安井の読書力、識見、議論の高さを序文の中で強く評価しています。

その一節に「讀書眼透紙背識慮高卓」とあります。これは、書物を読むときの目が紙の裏まで透き通るほどで、見識と思慮が高くすぐれている、という意味に読めます。

原文では「眼光」ではなく「眼」と書かれ、「透紙背」という表現で、紙の裏まで見通すような読みの鋭さを表しています。この比喩が、現在の「眼光紙背に徹す」という形のもとになりました。

「徹る」「徹す」は、物事を奥まで貫くという意味合いをもつ言い方です。近代以後には「眼光紙背に透る」という形も使われ、現在は「眼光紙背に徹る」「眼光紙背に徹す」の形で、深い読解力をいう表現として用いられています。

近代の用例として、細井和喜蔵『女工哀史』(1925年)には、「心眼を開いて一読三読眼光紙背に透るまでお読み下さい」という形が出てきます。ここでは、一度読むだけでなく、何度も読んで文章の奥まで理解するように求める言い方として使われています。

戦後の用例では、鮎川哲也『黒いトランク』(1956年)に「眼光紙背に徹する名探偵」という形が出てきます。文章の深意を読む力から広がって、物事の奥にある事情を見抜く鋭さにも結びつけて使われています。

このように、「眼光紙背に徹す」は、江戸末期の漢文調の賛辞から生まれ、読書力の鋭さを表す慣用句として定着しました。現在も、文章を表面的に読むのではなく、言葉の奥にある考えや真意まで読み取る姿勢を表す言葉として使われます。

「眼光紙背に徹す」の使い方

健太
国語の物語、主人公は何も言っていないのに、ほんとうは寂しかったのかな?
ともこ
そう思う。雨の場面や、手紙をしまうところを読むと、気持ちがちゃんと隠れているよ。
健太
文字に書いてあることだけじゃなくて、そこまで考えるのが眼光紙背に徹すってことなんだね?
ともこ
うん!明日の感想文では、主人公の言葉の奥にある気持ちまで書いてみよう。

「眼光紙背に徹す」の例文

例文
  • この評論家は、短い詩の一語一語を読み込み、眼光紙背に徹す解釈を示した。
  • 古い日記を眼光紙背に徹すように読めば、当時の人々の不安まで伝わってくる。
  • 先生は、物語の結末だけでなく、伏線の意味まで眼光紙背に徹す読み方で説明した。
  • 契約書を読むときは、表面の条件だけでなく、眼光紙背に徹す注意深さが必要だ。
  • 彼の読書感想文は、登場人物の心の動きを眼光紙背に徹す形でとらえていた。
  • 歴史資料を眼光紙背に徹す姿勢で読むと、書かれなかった事情にも目が向く。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・飯間浩明編『四字熟語を知る辞典』小学館、2018年。
・塩谷世弘『宕陰存稿』1870年。
・細井和喜蔵『女工哀史』改造社、1925年。
・鮎川哲也『黒いトランク』1956年。
・Cambridge University Press『Cambridge English Dictionary.』




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