【嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず】の意味と使い方や例文(語源由来・類義語・英語)

嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず

【ことわざ】
嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず

【読み方】
かこうありといえどもくらわざればそのうまきをしらず

【意味】
どれほど優れた教えも、実際に学ばなければ、そのよさは分からないということ。何事も経験し、実践して初めて、その価値を理解できるという教え。

ことわざ博士
嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずは、おいしい料理も食べてみなければ味が分からないことを、学問や実践の大切さに重ねた表現なんだよ。
助手ねこ
優れた教えを学ぶ場面や、人物・方法などを実際に試して初めて真価が分かる場面に用いるニャン。

【英語】
・The proof of the pudding is in the eating.(物事のよしあしは、実際に試してみて初めて分かる)

【類義語】
・百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)
・論より証拠(ろんよりしょうこ)

【スポンサーリンク】

「嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず」の語源・由来

「嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず」は、中国の儒教経典『礼記(らいき)』の「学記」に出てくる言葉です。『礼記』は、戦国時代から前漢初期までの礼や教育に関する文献をまとめた四十九篇の書物で、「学記」は、学ぶことと教えることの道理を説いています。

原文には、「雖有嘉肴、弗食、不知其旨也」とあります。おいしいごちそうが目の前にあっても、それを食べなければ、どれほどおいしいかは分からないという意味です。

「嘉肴(かこう)」の「嘉」は、よい、立派なという意味をもち、「肴」は料理やごちそうを指します。また、ここでの「旨」は、目的や考えという意味ではなく、食べ物のおいしさを表しています。

この言葉のすぐあとには、「雖有至道、弗学、不知其善也」と続きます。どれほど優れた道や教えがあっても、実際に学ばなければ、そのよさを知ることはできないという意味です。

つまり、料理を食べることと、教えを学ぶこととを重ねています。料理は眺めているだけでは味が分からず、学問も内容を知っているだけでは身に付かないため、自ら取り組むことが必要だと説いているのです。

「学記」はさらに、学んで初めて自分に足りないところを知り、人に教えて初めて自分が十分に理解していないところを知る、と続けています。自分の不足を知れば反省して学び直し、理解の難しさを知れば、いっそう努力できるという教えです。

この一節は、最後に「教学相長ず」という考えへとつながります。人から学ぶことと人に教えることとは互いに補い合い、どちらも実際に経験することで、学問や理解が深まるという意味です。

後漢の鄭玄が注を施し、唐代の孔穎達らがまとめた『礼記正義(らいきせいぎ)』では、「嘉」はよいこと、「旨」はおいしいことだと解いています。また、料理を目の前に並べただけでは、その美味を知ることはできないと、このたとえを具体的に説いています。

前漢の韓嬰が著した『韓詩外伝(かんしがいでん)』巻三にも、よい酒やごちそうも味わわなければ、そのおいしさは分からず、よい道も学ばなければ、その働きを理解できないという、よく似た一節があります。ここでも、学びは知識を眺めるだけでなく、実際に取り組むことで深まるものとして語られています。

日本語の古い実例には、人形浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』(1748年・江戸時代中期、二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳作)があります。大序に「嘉肴有りといえども、食せざれば其味をしらず」とあり、優れた武士の忠義や武勇も、実際に働く機会がなければ世に知られないことのたとえとして使われています。

この用例では、原典の「優れた教えも学ばなければ分からない」という意味が、人物の能力や真価も、実際に用いなければ分からないという意味へと広がっています。食べて味を確かめるという具体的な比喩が、学問だけでなく、人や物事の価値を実践によって見極める教えとして受け継がれたのです。

したがって、「嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず」は、ただ試してみることを勧めるだけの言葉ではありません。どれほど立派な教えや才能も、実際に学び、用い、経験しなければ、その本当のよさを理解できないという、実践の大切さを説くことわざです。

「嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず」の使い方

ともこ
理科の本で塩の結晶の写真を見たけれど、どうすれば大きく育つのか、まだよく分からないな。
健太
それなら、実際に濃い食塩水を作って、糸に結晶を育ててみようよ!
ともこ
嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずというものね。自分で試してこそ、作り方の工夫が分かりそう。
健太
うん。今日から観察記録をつけて、結晶が育つ様子を毎日確かめよう!
【スポンサーリンク】

「嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らず」の例文

例文
  • 嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずというように、泳ぎ方は本を読むだけでなく、水に入って練習してこそ身に付く。
  • 嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずの教えどおり、工場を訪ねて初めて製品作りの工夫が理解できた。
  • 祖父は嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずと言い、新しい仕事にはまず挑戦してみるよう孫を励ました。
  • 嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずで、評判の学習法も実際に続けてみなければ効果は判断できない。
  • 社長は嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずとして、若い社員に重要な仕事を任せ、その力量を確かめた。
  • 嘉肴ありと雖も食らわざればその旨きを知らずという言葉は、知識を得るだけでなく実践することの大切さを教えている。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・Cambridge University Press & Assessment『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus.』
・『礼記』。
・鄭玄注、孔穎達ら疏『礼記正義』。
・韓嬰『韓詩外伝』。
・二世竹田出雲・三好松洛・並木千柳『仮名手本忠臣蔵』1748年。


逆引き検索

言葉が思い出せないときも、意味や使う場面から探せます。

スポンサーリンク



講談社刊行・全3冊

運営者・北澤篤史の著書

ことわざ・四字熟語・漢字熟語を、マンガで楽しく学べる図鑑シリーズです。

※Amazon・楽天の購入先にはアフィリエイトリンクが含まれます。

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉の表紙
ことわざ

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉

試験によく出ることわざを、マンガと解説で楽しく学べる一冊。

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉の表紙
四字熟語

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉

四字熟語をマンガで理解し、意味・漢字・使い方を覚えたい人へ。

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑の表紙
漢字熟語

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑

似た意味・同じ読みの漢字熟語の違いを、マンガと用例で学べる一冊。