【朽木は雕るべからず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

朽木は雕るべからず

【故事成語】
朽木は雕るべからず

【読み方】
きゅうぼくはえるべからず

【意味】
学ぶ意欲のない者は、いくら教え導いても成長させることができないというたとえ。

ことわざ博士
朽木は雕るべからずは、何度教えても本人が学ぼうとせず、指導しても甲斐がないことを表すよ。
助手ねこ
相手を見込みのない者と断じる厳しい言葉で、教育や指導をあきらめる場面に用いるニャン。

【英語】
・You can lead a horse to water, but you can’t make it drink.(機会を与えることはできても、本人にその気がなければ行動させられない)
・You can’t make a silk purse out of a sow’s ear.(よくない材料から立派なものを作ることはできない)

【類義語】
・朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)
・朽木は柱とならず(くちきははしらとならず)

【スポンサーリンク】

「朽木は雕るべからず」の故事

故事成語を深掘り

「朽木は雕るべからず」は、中国の古典『論語(ろんご)』「公冶長(こうやちょう)」に出てくる孔子の言葉にもとづきます。『論語』は、春秋時代末の思想家である孔子と門人たちの言行を、孔子の没後、弟子の系統に連なる人々がまとめた書物です。

孔子の弟子に、宰予(さいよ)という人物がいました。宰予は魯(ろ)の人で、孔子門下の優れた弟子を表す「孔門の十哲」の一人に数えられ、特に弁舌に優れていた人物です。

あるとき、宰予が昼間から寝ていました。その姿を見た孔子は、「朽木不可雕也、糞土之牆不可杇也」と述べました。日本では、「朽木は雕るべからず、糞土の牆(しょう)は杇(ぬ)るべからず」と読みます。

「朽木」は腐った木を指し、「雕る」は、木などに模様を刻んで彫刻することです。腐ってもろくなった木には、どれほど腕のよい職人でも、立派な彫刻を施せません。同じように、崩れやすい粗末な土壁には、こてで上塗りをしても、仕上げることができません。

孔子はこの二つを並べ、宰予を教え諭そうとしても、朽ちた木を彫り、崩れた壁を塗るようなもので、もはや責めても仕方がないと厳しく戒めました。腐った木や壁は宰予の学ぶ姿勢に、彫刻や上塗りは教育を施すことにたとえられています。

孔子は続けて、以前は人の言葉を聞けば、その人が言葉どおりに行動するものと信じていたが、これからは言葉だけでなく、実際の行いも見ることにしたと述べています。そして、人を見る方法を変えたのは、宰予のためだと語りました。ここには、宰予が立派なことを語る力をもちながら、その言葉に行動が伴っていなかったことへの失望が表れています。

宰予は、決して才能のない人物ではありませんでした。弁舌を認められた高弟であったからこそ、孔子はその怠慢を惜しみ、言葉と行動との食い違いを強く責めたと受け取れます。現在の故事成語では、この場面から離れ、学ぶ意志をもたない者は、いくら教育してもどうにもならないという意味で使われています。

日本語の古い用例には、近松門左衛門の浄瑠璃『日本西王母(にっぽんせいおうぼ)』(1699年ごろ・江戸時代前期)にある「朽ちたる木をばえるべからずとは、今こそ思ひ知られたれ」があります。ここでは、漢文の「朽木」を「朽ちたる木」とやさしく言い換えた形で使われています。

原典では、「朽木」と「糞土の牆」という二つのたとえが対になっています。後には、両方をまとめた「朽木糞牆」という四字の形も生まれましたが、「朽木は雕るべからず」だけでも、教育を施しても効果がないという意味を表す故事成語として定着しました。

「朽木は雕るべからず」の使い方

健太
図書委員の仕事を三回説明したのに、亮くんは話を聞かないで、今日も本を机に積んだまま帰ったよ。
ともこ
もう、朽木は雕るべからずだと思ったの?
健太
少し思ったけど…そう決めつけるのは厳しすぎるね。まず、何が分からないのか聞いてみるよ。
ともこ
うん!本当に学ぶ気がないのか、理由も聞いてみよう。
【スポンサーリンク】

「朽木は雕るべからず」の例文

例文
  • 何度注意されても稽古を怠り続ける弟子に、師匠は朽木は雕るべからずと嘆いた。
  • 本人が学ぶ意欲をまったく示さないため、指導者は朽木は雕るべからずという思いを抱いた。
  • 一度失敗しただけの部下を、朽木は雕るべからずと見限るのは早計だ。
  • 監督は、助言を聞かず規則違反を繰り返す選手を見て、朽木は雕るべからずとため息をついた。
  • 朽木は雕るべからずという言葉には、相手を立ち直れない者と断ずる厳しさがある。
  • 教師は朽木は雕るべからずとあきらめる前に、生徒が学ぶ意欲を失った理由を探った。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・『論語』。
・近松門左衛門『日本西王母』1699年ごろ。


逆引き検索

言葉が思い出せないときも、意味や使う場面から探せます。

スポンサーリンク



講談社刊行・全3冊

運営者・北澤篤史の著書

ことわざ・四字熟語・漢字熟語を、マンガで楽しく学べる図鑑シリーズです。

※Amazon・楽天の購入先にはアフィリエイトリンクが含まれます。

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉の表紙
ことわざ

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉

試験によく出ることわざを、マンガと解説で楽しく学べる一冊。

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉の表紙
四字熟語

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉

四字熟語をマンガで理解し、意味・漢字・使い方を覚えたい人へ。

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑の表紙
漢字熟語

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑

似た意味・同じ読みの漢字熟語の違いを、マンガと用例で学べる一冊。