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【二兎を追う者は一兎をも得ず】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

二兎を追う者は一兎をも得ず

【ことわざ】
二兎を追う者は一兎をも得ず

【読み方】
にとをおうものはいっとをもえず

【意味】
同時に二つの目標を追い求めると、結局どちらも成功しないというたとえ。欲ばって一度に多くを得ようとすることへの戒め。

ことわざ博士
二兎を追う者は一兎をも得ずは、二匹の兎を同時に捕まえようとして、どちらにも逃げられる様子から、目標をしぼる大切さを表すことわざだよ。
助手ねこ
勉強、仕事、習い事、進路などで、あれもこれも同時に欲ばって中途半端になりそうな場面で用いるニャン。

【英語】
・If you run after two hares, you will catch neither.(二匹の野ウサギを追いかけると、どちらも捕らえられない)

【類義語】
・虻蜂取らず(あぶはちとらず)

【対義語】
・一石二鳥(いっせきにちょう)
・一挙両得(いっきょりょうとく)

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「二兎を追う者は一兎をも得ず」の語源・由来

ことわざを深掘り

「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、二匹の兎を同時に追いかけても、一匹も捕まえられないという具体的な情景をもとにしたことわざです。ここでの「二兎」は二つの目標、「追う」はそれを手に入れようとする行動を表します。一つの力を二つの方向へ分けてしまうと、どちらにも十分に集中できず、結局どちらも得られないという意味につながります。

このことわざは、古い中国の故事から来た表現ではなく、西洋で広く使われてきたことわざを日本語に移したものです。幕末ごろ、オランダ語、フランス語、英語などを通じて、同じ趣旨の言い方が日本へ入ったと考えられています。日本語では「二兎」「一兎」「得ず」という漢文の読み下し文に近い形をとったため、外から入った言葉でありながら、早くから日本語のことわざとしてなじみました。

日本でこのことわざが広まるうえで重要な位置をもつのが、『西洋諺草(せいようげんそう)』(1877年・明治10年、岩見鑑造抄訳)です。この書物は西洋のことわざを集めて紹介したもので、神戸大学附属図書館の書誌情報にも、タイトル、作成者、数量などが記録されています。ことわざとしての「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、このような明治初期の西洋ことわざ紹介の流れの中で、日本語の表現として形を整えていきました。

その後、このことわざは小学校の修身や国語の教科書にも取り上げられ、短い期間で急速に広まりました。兎狩りは日本でもよく知られた行為だったため、「二匹を同時に追えば、どちらにも逃げられる」というたとえは、子どもにも大人にも分かりやすいものでした。抽象的な教えを、目に浮かぶ狩りの場面に置きかえたことが、定着を助けたといえます。

明治時代の文学作品にも、このことわざは早くから出てきます。巌谷小波の『暑中休暇』(1892年・明治25年)には、「二兎を追ふ者は一兎を得ずってえ事がある」という形の用例があります。作中では、将来の目標を二つ同時に考えている相手に対して、どちらか一方に決めたほうがよいと促す場面で使われています。ここでは、単なる欲ばりへの注意だけでなく、進路や目標をはっきりさせる教えとして働いています。

さらに、岸田国士の『ある夫婦の歴史』(1951年・昭和26年)には、「二兎を追うて一兎を得ざる結果になるおそれが十分にあります」という用例があります。短期間の研究に集中すべき状況で、家庭生活上の別の負担まで同時に抱えれば、研究の目的を果たせなくなるかもしれない、という文脈で使われています。明治の少年同士の会話から、昭和の文章表現まで、このことわざが広い場面で使われるようになったことが分かります。

日本には、近い意味のことわざとして「虻蜂取らず」もありました。これは、虻も蜂も取ろうとして結局どちらも得られないというたとえです。しかし、「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、西洋から入った表現でありながら、比喩が明快で、漢文調の形も覚えやすかったため、しだいに広く使われるようになりました。現在では、何かを得ようとするときには、目標をしぼり、力を一つに集めることが大切だと教えることわざとして定着しています。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」の使い方

健太
テスト勉強もしなきゃいけないし、明日のサッカーの練習メニューも考えたいし……。よし、両方いっぺんにやっちゃおう!
ともこ
健太くん、二兎を追う者は一兎をも得ずって言葉を知ってる?欲張るとどっちも中途半端になっちゃうよ。
健太
大丈夫、大丈夫!……あれ?教科書の内容が全然頭に入ってこないし、練習メニューもめちゃくちゃだ……。
ともこ
ほら、言った通りでしょ。まずは一時間集中して勉強を終わらせてから、ゆっくりサッカーのことを考えたら?
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「二兎を追う者は一兎をも得ず」の例文

例文
  • 二兎を追う者は一兎をも得ずというから、試験前は苦手な数学にしぼって勉強した。
  • 部活と習い事をどちらも増やそうとしたが、二兎を追う者は一兎をも得ずになりそうで考え直した。
  • 新しい商品を二種類同時に売り出すより、二兎を追う者は一兎をも得ずを避けて一つに力を入れるべきだ。
  • 旅行の計画で観光地を詰め込みすぎると、二兎を追う者は一兎をも得ずで、どこもゆっくり楽しめない。
  • 資格の勉強と転職活動を同時に進めすぎ、二兎を追う者は一兎をも得ずの結果になった。
  • 二兎を追う者は一兎をも得ずを思い出し、自由研究のテーマを一つにしぼった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・岩見鑑造抄訳『西洋諺草』日就社、1877年。
・巌谷小波『暑中休暇』1892年。
・岸田国士『ある夫婦の歴史』1951年。





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