【ことわざ】
雀百まで踊り忘れず
【読み方】
すずめひゃくまでおどりわすれず
【意味】
幼いころや若いころに身についた習慣や癖は、年を取ってもなかなか変わらないというたとえ。


【英語】
・Old habits die hard.(古い習慣はなかなかなくならない)
・A leopard cannot change its spots.(生まれ持った性質は簡単には変わらない)
【類義語】
・三つ子の魂百まで(みつごのたましいひゃくまで)
・頭禿げても浮気はやまぬ(あたまはげてもうわきはやまぬ)
・産屋の癖は八十まで治らぬ(うぶやのくせははちじゅうまでなおらぬ)
【対義語】
・氏より育ち(うじよりそだち)
「雀百まで踊り忘れず」の語源・由来
「雀百まで踊り忘れず」は、中国の古い出来事に由来する故事成語ではなく、雀の動きと人の習慣を重ねて生まれたことわざです。雀は死ぬまで飛びはねる癖が抜けないように、若い時に身についた習性は年をとっても変わらない、というたとえです。
ここでいう「踊り」は、人が音楽に合わせて踊ることではなく、雀が地面や枝の上で小さく跳ねるように動く様子をたとえたものです。「雀」という漢字は、訓読みで「すずめ」と読み、小鳥を表す字とされています。小さな鳥がぴょんぴょんと動く姿を「踊る」と見立てたところに、このことわざの分かりやすさがあります。
この表現は、もともと「雀百まで踊り忘れぬ」という形でもよく使われました。「忘れぬ」は「忘れない」という意味の古い言い方です。のちに上方のいろはかるたで「踊り忘れず」の形が採られ、現代では「雀百まで踊り忘れず」という形がほとんどになっています。
いろはかるたは、いろは四十八文字を頭字にして、それぞれにことわざを当てたかるたです。ことわざを書いた読み札と、その内容を絵で表した取り札から成り、正月の子どもの遊びとして広まりました。上方のいろはかるたは江戸中期末ごろまでに作られたとする説が有力で、その中にこのことわざが入ったことで、広く親しまれる形が整っていきました。
このことわざは、はじめから広く「習慣全般」を表したというより、「踊り」という言葉の連想から、道楽者や浮気者について用いられることが多かった表現です。つまり、若いころからの遊び好きや浮ついたくせは、年をとってもなかなか抜けない、という少し皮肉な言い方として受け取られていました。
近現代になると、用法は広がりました。道楽や浮気に限らず、幼いころや若いころに身についた習性全般について使われるようになっています。ただし、今でも「よい特技を年をとっても忘れない」というほめ言葉として使うより、直したほうがよいくせや、なかなか変わらない性分について使うほうが自然です。
似たことわざに「三つ子の魂百まで」があります。こちらは幼いころの性格が年を重ねても変わらないことを表しますが、「雀百まで踊り忘れず」は、雀の飛びはねる姿をもとに、身についたくせや習慣のしぶとさをより具体的に表す言い方です。
このことわざは、人は成長しても昔のくせがすべて自然に消えるわけではない、という現実を教えています。だからこそ、よくない習慣は早いうちに見直し、よい習慣は若いうちから身につけることが大切だ、という教訓にもつながります。
「雀百まで踊り忘れず」の使い方




「雀百まで踊り忘れず」の例文
- 祖母は若いころから世話好きで、年を取っても近所の人を助けており、雀百まで踊り忘れずという言葉が合う。
- 父は子どものころから忘れ物が多く、大人になってもかばんを置き忘れるので、雀百まで踊り忘れずだと言われた。
- 友人は幼いころから歌うことが好きで、社会人になっても毎週合唱を続けており、雀百まで踊り忘れずを思わせる。
- 叔父は若いころから物を集める癖があり、今でも古い切手を買い集めていて、雀百まで踊り忘れずだ。
- 小学生のころから早口だった兄は、大人になっても話す速度が変わらず、雀百まで踊り忘れずとはこのことだ。
- 子どものころから負けず嫌いだった選手は、引退後も勝負事になると真剣になり、雀百まで踊り忘れずと評された。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会編『漢検 漢字辞典 第二版』日本漢字能力検定協会、2014年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。























