『荘子』は古代中国の道家の文献で、その著者とされるのは哲学者・荘子(荘周)です。この文献は内篇、外篇、雑篇の三部構成となっており、全部で33篇から成り立っています。
その伝来に関して、内篇のみが荘子本人の著作とされており、外篇や雑篇は後世のものであるという説が一般的です。『史記』や『漢書』によると、元々の『荘子』はもっと多くの篇から成り立っていたとされています。
その中でも金谷治の説によれば、現在の『荘子』の形に整理・体系化されたのは淮南王劉安の時代とされています。
晋代の郭象という学者が、元のテキストを分析・編纂し、現在の形にまとめたとされています。彼はまた、この文献の注釈書『荘子注』も書き残しています。
唐時代には、玄宗皇帝が荘子に「南華真人」という名誉称号を贈り、『荘子』は『南華真経』とも呼ばれるようになりました。
『荘子』と他の古典文献との関係も注目されています。例えば、『老子』と『荘子』は思想的に関連しているとされることが多いですが、内篇においては直接の関連は認められません。
また、荘子は儒家の文献『論語』をよく読んでいたことが、孔子が『荘子』の中でたびたび引用されている点から明らかです。
内容的には、『荘子』は「無為自然」を主題としていますが、各篇によって説かれる内容は異なります。内篇では純粋な無為自然が説かれていますが、外篇や雑篇では人間の社会や活動も含めた広い意味での自然が説かれています。
さらに、『荘子』の中には実在したとされる人物のエピソードも多く含まれています。その中でも特に多いのは孔子とその弟子たちのエピソードで、これらは当時の風俗や価値観を反映しています。