【嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる

【ことわざ】
嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる

【読み方】
うそをいうとえんまさまにしたをぬかれる

【意味】
嘘をつくと、死後に地獄で閻魔様に舌を抜かれるという言い伝えから、嘘をついてはいけないと戒めること。

ことわざ博士
「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」は、子どもに正直であることの大切さを教える戒めの言葉だよ。
助手ねこ
人をだましたり、ごまかしたりしようとする場面で、嘘をやめさせるために用いるニャン。

【英語】
・Don’t tell lies(嘘をついてはいけない)

【類義語】
・嘘つきは泥棒の始まり(うそつきはどろぼうのはじまり)
・嘘を言えば地獄へ行く(うそをいえばじごくへゆく)

【対義語】
・嘘も方便(うそもほうべん)

「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」の語源・由来

ことわざを深掘り

「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」は、嘘をつくことへの強い戒めを、地獄と閻魔様の恐ろしい裁きに結びつけて表したことわざです。死後の世界で罪を裁く閻魔様を思い浮かべさせ、嘘を軽く考えないように教える働きをもっています。

「閻魔」は、インドの冥界の主が仏教に取り入れられ、中国を経て日本に伝わった存在です。日本では、仏教とともに冥府の王として知られ、死者の生前の善悪を裁く恐ろしい存在として語られてきました。

日本の閻魔信仰では、閻魔様は単に怖い王ではなく、地蔵菩薩と結びついて信仰の対象にもなりました。一方で、唱導説話や地獄変相図では、罪のある死者を責める冥府の王として描かれ、人々に因果応報を教える役割を担いました。

このことわざの根にあるのは、仏教で嘘を悪い行いとする考え方です。仏教の戒めには、みだりに偽りを言わないことが含まれますが、それでも相手を救い、よい方向へ導くためには、時と場合によって許される手だてがあるという考え方が、「嘘も方便」につながっています。

また、妄語戒(もうごかい)は、真実でないことを言って、他人をあざむいてはいけないという戒めです。仏教の道徳の中で、嘘は単なる失敗ではなく、人をまどわせ、悪い行いへ進ませるものとして重く扱われました。

地獄のありさまを広く知らせた日本の仏教書として、源信が著した『往生要集(おうじょうようしゅう)』(985年・平安時代中期成立)があります。この書物は、地獄の様相と極楽の荘厳を説き、後の信仰・文学・美術に大きな影響を与えました。

『往生要集』の地獄描写は、日本で地獄を具体的に思い描く上で大きな力をもちました。平安時代以後、地獄絵や説話を通して、罪人が苦しみを受ける場面が人々に伝わり、嘘をついた者が舌を責められるという考えも広まりました。

ただし、古い仏教の地獄描写では、罪人の舌を引き出して責めるのは閻魔様自身ではなく、獄卒(ごくそつ:地獄で罪人を責める鬼)として語られることが多くあります。日本では、地獄絵や民間の語りの中で説明が短くなり、やがて「閻魔様に舌を抜かれる」という分かりやすい言い方になったと考えられます。

江戸時代には、閻魔様への信仰が庶民の間でも広まり、閻魔堂への参詣や閻魔の縁日も親しまれました。こうした背景の中で、閻魔様は子どもにも分かる「悪いことを見逃さない存在」として語られるようになりました。

このことわざの古い出典として、浮世草子『熊谷女編笠』(1706年・江戸時代前期、錦文流作)が挙げられます。『熊谷女編笠』は、実際の事件を取り入れた長編の浮世草子で、江戸時代の読み物の中にこの戒めの言い方が現れていたことを示します。

「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」は、仏教の戒め、地獄絵の恐ろしい想像、そして庶民のしつけの言葉が重なって定着した表現です。現在では、本当に地獄で舌を抜かれるという説明よりも、嘘はいけないことだと強く教えるためのことわざとして使われます。

「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」の使い方

健太
昨日の宿題のノート、家に忘れてきちゃったんだ。先生に、お母さんが間違えてカバンから出しちゃったって言おうかな。
ともこ
えっ、それはだめだよ。嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれるっていうじゃない。
健太
うう、確かに嘘をつくのはよくないよね。でも、宿題をやり忘れたって正直に言うのはすごく勇気がいるなぁ。
ともこ
先生は正直に話せばきっと許してくれるよ。放課後に残って一緒にやろう!

「嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれる」の例文

例文
  • 祖母は、嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれると孫を戒めた。
  • 財布を拾ったことを隠そうとした弟に、母は嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれると言った。
  • 嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれるという言葉を思い出し、彼は正直に謝った。
  • 先生は、嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれると脅すのではなく、正直に話す大切さを教えた。
  • 友だちの失敗をごまかそうとしたが、嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれると思って本当のことを話した。
  • 嘘を言うと閻魔様に舌を抜かれるということわざは、嘘を軽く見ないための戒めとして伝わっている。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・源信『往生要集』985年。
・錦文流『熊谷女編笠』1706年。
・集英社『会話で使えることわざ辞典』。




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