【国に入ってはまず禁を問え】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

国に入ってはまず禁を問え

【故事成語】
国に入ってはまず禁を問え

【読み方】
くににいってはまずきんをとえ

【意味】
他国やよその土地に入ったら、まずそこで禁じられていることや守るべき規則を知り、それに従えという教え。

ことわざ博士
「禁」は、禁じられている事柄や、その土地で守るべきおきてを指すんだよ。
助手ねこ
法律や生活上の規則が異なる国や地域を訪れるとき、知らずに決まりを破らないよう、あらかじめ確かめる大切さを説く場面で用いるニャン。

【英語】
・When in Rome, do as the Romans do.(よその土地では、その土地の習慣に従え)

【類義語】
・境に入りては禁を問う(さかいにいりてはきんをとう)
・郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)

「国に入ってはまず禁を問え」の故事

故事成語を深掘り

この言葉のもとになったのは、中国古代の礼に関する教えを集めた『礼記(らいき)』の「曲礼上(きょくらいじょう)」です。『礼記』は、戦国時代から秦・漢のころまでに伝わった文章を集めた書物で、現在の四十九編という形は、前漢の戴聖がまとめたものに由来すると伝えられています。

「曲礼上」には、人と接するときの身のこなしや言葉づかい、目上の人に仕えるときの作法など、社会の中で相手を敬うための細かな心得が並んでいます。日常の振る舞いから公の儀礼までを幅広く説いた文章です。

その中に、「入竟而問禁、入國而問俗、入門而問諱」とあります。日本では、「竟に入りては禁を問ひ、國に入りては俗を問ひ、門に入りては諱(いみな)を問ふ」と読みます。

やさしく言えば、他国との境に入ったら何が禁じられているかを尋ね、その国に入ったら土地の風俗や習慣を尋ね、人の家に入ったら口にするのを避ける名を尋ねる、という意味です。知らない土地や家に入る前に、相手が大切にしている決まりを知り、失礼のないように振る舞うことを教えています。

原文の「竟(きょう)」は、この箇所では「境」と同じ意味で使われています。そのため、最初の一句は「境に入りては禁を問う」という形で読み継がれ、他国の領域に入ったら、そこで禁じられていることを尋ねるという教えを表すようになりました。

「境で禁を問う」「国で俗を問う」「門で諱を問う」という三つの心得は、まとめて「三問(さんもん)」とも呼ばれます。国境、国や土地の社会、個人の家という順に場所が狭くなり、それぞれの場所には、それぞれ守るべき決まりがあることを示しています。

ここで大切なのは、自分の国や家で通用する常識を、よその土地でもそのまま押し通さないことです。悪気がなくても、現地の禁止事項や習慣を知らなければ、相手を困らせたり、決まりを破ったりすることがあります。そのため、まず尋ねることが礼にかなうと説いています。

「禁を問う」という部分は、後に「問禁(もんきん)」という言葉でも表されました。「問禁」は、他国へ入るときに、その土地の禁忌(きんき)や禁令を尋ねることを意味します。

日本語では、漢文の読み方に近い「境に入りては禁を問う」のほか、「国に入ってはまず禁を問え」という言い方も用いられています。原文の「境」を分かりやすい「国」に置き換え、「まず」を加えたうえで、「問え」と強く勧める形に整えた表現といえます。

また、「国に入ってはまずその法を聞く」という言い方もあります。現在では、外国へ旅行、留学、赴任などをするときに、現地の法律や規則を前もって知り、違反しないようにする心得として使われます。

『礼記』の原文では、「禁」と「俗」を分けて尋ねていますが、どちらにも共通するのは、よその土地では、そこに暮らす人々の決まりや習わしを尊重するという姿勢です。「国に入ってはまず禁を問え」は、自分の常識だけで判断せず、相手の社会を知ってから行動することの大切さを、今に伝える言葉です。

「国に入ってはまず禁を問え」の使い方

健太
海外の提携校とのオンライン交流会だけど、向こうでは手を挙げるポーズに日本と違う意味があるらしいよ。
ともこ
そうなの?うっかり失礼なジェスチャーをしたら大変だね。
健太
国に入ってはまず禁を問えというし、交流会の前に相手の国のマナーをちゃんと確認しておこう!
ともこ
そうだね!ルールを調べてみんなに共有すれば、安心して楽しく交流できそうだね。

「国に入ってはまず禁を問え」の例文

例文
  • 海外赴任を前に、父は国に入ってはまず禁を問えと、現地の法律や生活上の規則を学んだ。
  • 留学する生徒たちは、国に入ってはまず禁を問えという教えに従い、持ち込みを禁じられた品を確かめた。
  • 国に入ってはまず禁を問えを心に留め、旅行者は寺院で禁じられている服装を事前に調べた。
  • 国際大会へ向かう選手団は、国に入ってはまず禁を問えと、開催国の規則を全員で確認した。
  • 新しい国で事業を始める会社には、国に入ってはまず禁を問えという慎重な姿勢が欠かせない。
  • 国に入ってはまず禁を問えという教えを忘れた彼は、自国では許される行為が現地では禁止されていると知って驚いた。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・白川静『字通 普及版』平凡社、2014年。
・竹内照夫『新釈漢文大系27 礼記 上』明治書院、1971年。
・小林一郎『経書大講 第25巻 大学 礼記抄』平凡社、1940年。
・Diana Lea・Jennifer Bradbery編『Oxford Advanced Learner’s Dictionary 第10版』Oxford University Press,2020.




講談社刊行・全3冊

運営者・北澤篤史の著書

ことわざ・四字熟語・漢字熟語を、マンガで楽しく学べる図鑑シリーズです。

※Amazon・楽天の購入先にはアフィリエイトリンクが含まれます。

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉の表紙
ことわざ

マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉

試験によく出ることわざを、マンガと解説で楽しく学べる一冊。

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉の表紙
四字熟語

マンガでわかる おもしろ四字熟語図鑑〈試験に出る〉

四字熟語をマンガで理解し、意味・漢字・使い方を覚えたい人へ。

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑の表紙
漢字熟語

マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑

似た意味・同じ読みの漢字熟語の違いを、マンガと用例で学べる一冊。