【陰になり日向になり】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

陰になり日向になり

【慣用句】
陰になり日向になり

【読み方】
かげになりひなたになり

【意味】
人に知られないところでも、表立ったところでも、さまざまに力を尽くして助けたり守ったりすること。

ことわざ博士
陰になり日向になりは、目立たない援助と表立った援助の両方を重ね、絶えず相手を支えることを表すよ。
助手ねこ
恩人や家族、指導者などが、場面に応じて相手をかばい、力を貸してきたことを述べる際に用いるニャン。

【英語】
・both openly and secretly.(表立っても人知れずにも)

【類義語】
・陰に陽に(いんにように)
・陰日向になる(かげひなたになる)

「陰になり日向になり」の語源・由来

慣用句を深掘り

「陰になり日向になり」は、日の当たらない「陰」と日の当たる「日向」を対にした言い方です。もとは、光の当たり方が異なる二つの場所を指しますが、そこから「人目につかない裏側」と「人前に出る表側」を表すようになりました。

ここでいう「陰」は、ひそかに助ける場面や、相手の知らないところでかばう場面を表します。「日向」は、人前に立って力を貸したり、はっきりと味方になったりする場面を表します。

この表現の「かげ」は「陰」と書きます。「影」は、光を遮ったときに映る形や人の姿などを表す字であり、この慣用句を「影になり日向になり」と書くのは誤りです。

「陰」と「日向」を一組にした「陰日向」という言葉は、すでに『日葡辞書(にっぽじしょ)』(1603〜1604年・江戸時代初期)に出てきます。そこには、日光の当たらない所と当たる所を指す意味のほか、「Caguefinatano Aru Fitogia」という用例があります。

この用例は「陰日向のある人じゃ」という意味で、人が見ている時と見ていない時とで態度を変える人物を表します。現在の「陰日向がある」「陰日向なく働く」につながる用法であり、援助を表す「陰になり日向になり」とは意味の向きが異なります。

現在の表現に近い形の古い用例は、増穂残口の『艶道通鑑(えんどうつがん)』(1715年・江戸時代中期)にあります。この書物は、正徳5年に刊行された六冊の浮世草子で、男女の情愛にまつわる話を集めた作品です。

その巻三には、「陰に成り陽に成りて此男の事大切に思ひ込しかば」とあります。この「陽」には「ヒナタ」と読みが示されており、陰でも日向でも、その男を大切に思って力を尽くすという文脈で使われています。

この用例では、人前と人の見ていないところとで態度を変えるという悪い意味ではありません。相手がいる場でもいない場でも、変わらず思いやり、助け続けるという、現在とほぼ同じ意味を表しています。

その後、紀海音作の浄瑠璃(じょうるり)『心中二つ腹帯(しんじゅうふたつはらおび)』(1722年・江戸時代中期)には、「陰日向になる程の気骨は折ってやられても」とあります。この作品は、享保7年に大坂の豊竹座で初演された世話物です。

ここでは、「陰になり日向になり」を縮めた「陰日向になる」という形が使われ、表でも裏でも相手をかばい、援助する意味を表しています。十八世紀初めには、長い形と短い形の両方が、相手を守り支える言い方として用いられていました。

近い表現に「陰に陽に」があります。これは、ある時はひそかに、ある時は公然と行動することを表し、「陰になり日向になり」を漢語的にまとめたような言い方として用いられます。

ただし、「陰になり日向になり」には、単に表と裏の両方で行動するだけでなく、相手を絶えずかばい、守り、助けるという意味が強く含まれます。そのため、一時的に手伝う場面よりも、長い間変わらず支え続けた人への感謝や信頼を表す場面によく合います。

このように、日の当たらない場所と日の当たる場所という具体的な対比が、人目につかない時にも、人前でも変わらず尽くすという意味へと広がりました。「陰になり日向になり」は、立場や場面を問わず、相手を支え続ける深い助力を表す慣用句です。

「陰になり日向になり」の使い方

ともこ
今度の水泳大会に向けて、お姉ちゃんが毎朝練習につき合ってくれるの。学校では先生にも泳ぎ方を相談してくれたよ。
健太
陰になり日向になり、ともこちゃんを応援してくれているんだね!
ともこ
うん。疲れて落ち込んだ時は家で励ましてくれるし、大会の日には大きな声で応援してくれるの。
健太
心強いね! お姉ちゃんへの感謝を力にして、最後まで泳ぎ切ろう。

「陰になり日向になり」の例文

例文
  • 母は陰になり日向になり、夢を追う息子を支え続けた。
  • 恩師は陰になり日向になり、若い研究者の成長を助けた。
  • 監督が陰になり日向になり選手を守ったからこそ、チームは苦しい時期を乗り越えられた。
  • 地域の人々は陰になり日向になり、被災した家族の暮らしを支援した。
  • 創業以来、陰になり日向になり夫を支え、店を守ってきた。
  • 多くの職員が陰になり日向になり行事を支えたおかげで、式典は無事に終わった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・『小学館プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・『日葡辞書』1603〜1604年。
・増穂残口『艶道通鑑』1715年。
・紀海音『心中二つ腹帯』1722年。




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