ことわざとは人々の知恵を、だれもが知っているたとえで表したものです。
昔から多くの人によって伝えられてきたものですから、ことわざを使って表現すると人の共感を得やすくなります。
当記事の「ことわざ100選」は、ことわざ研究者でことわざ学会代表理事の北村孝一先生に、収録項目の選定をしていただきました。

1.多くの人によく知られているもの
有名なことわざは、ふつうの人が知っていて常識とされ、いちいち説明せずに使われます。
意味だけでなく、どのような場面で使われるかに注意し、必要なときに使えるように身につけましょう。
2.日常生活で使われるもの
特に古典や文学にくわしくなくても、生活のなかで自然に使われるものです。
ふだん使われる口語の形を主に採用しましたが、漢文的表現や文語でも現在使われているものは、見出しにしたり、説明文で補足しています。
3.ことわざのレトリックになじみ、センスを磨けるもの
ことわざは、短い表現で、口調がよく、深い意味をあらわすものが少なくありません。
比喩や対句、反語など、多様なレトリックが用いられています。
ことわざによく使われる表現方法になじみ、論理的理解力とともに、ことばのセンス(感性)を磨けるものを選びました。丸暗記ではなく、声に出して、ゆっくり味わってみてください。
目次
「あ行」の有名なことわざ
後の祭り

時機を逃して、今さら何をしても役に立たないこと。悔やんでも取り返しがつかないこと。


雨降って地固まる
争いやもめごとのあとに、かえって関係や状態が安定してよくなること。


案ずるより産むが易い
物事は、始める前に心配するより、実際にやってみるほうがたやすいこと。


石の上にも三年
つらくても辛抱強く続ければ、いつか成果が出ること。


【専門家コラム】
急がば回れ
急いでいるときほど、危ない近道より安全で確かな道を選ぶほうがよいこと。


一富士二鷹三茄子
初夢に見ると縁起がよいとされるものを、順に並べた言葉。


【専門家コラム】
一寸の虫にも五分の魂
どんなに小さく弱い者にも、意地や誇りがあること。


犬も歩けば棒に当たる
出しゃばると災難にあうこと。また、行動してみると思いがけない幸運に出会うこと。


【専門家コラム】
命あっての物種
命があるからこそ、ほかの物事も成り立つということ。


井の中の蛙
狭い世界しか知らず、広い世の中を知らないこと。


魚心あれば水心
相手が好意を示せば、こちらも好意をもって応じること。


馬の耳に念仏
どんなによいことを言い聞かせても、相手が理解しなければ何の効果もないこと。


噂をすれば影がさす
人の噂をしていると、ちょうどその本人が現れること。


【専門家コラム】
海老で鯛を釣る
わずかな元手や労力で、大きな利益を得ること。


縁の下の力持ち
人目につかないところで、他人や物事を支えている人。


負うた子に教えられて浅瀬を渡る
自分より年下の者や未熟に見える者から、かえって教えられることがあること。


鬼に金棒
もともと強いものが、さらに強い力や有利な条件を得ること。


帯に短し襷に長し
中途半端で、どちらの役にも立たないこと。


溺れる者は藁をもつかむ
非常に困っている人は、頼りにならないものにまで頼ろうとすること。


思い立ったが吉日
何かをしようと思ったら、その日をよい日としてすぐに始めるのがよいこと。


親の心子知らず
親が子を思う深い気持ちは、子にはなかなか分からないこと。


「か行」の有名なことわざ
蛙の子は蛙
子は親に似るものだということ。また、平凡な親からは平凡な子が生まれるという意味で使うこともある。


【専門家コラム】
壁に耳あり
秘密の話は、どこでだれに聞かれているか分からないこと。


亀の甲より年の功
年長者の経験や知恵は尊いものだということ。


可愛い子には旅をさせよ
子どもを大切に思うなら、甘やかさず、苦労や経験をさせたほうがよいこと。


聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥
知らないことを人に聞くのはその場だけの恥だが、聞かずに知らないままでいるのは長く恥になること。


腐っても鯛
すぐれたものは、悪い状態になってもそれなりの価値を失わないこと。


苦しいときの神頼み
ふだん信心していない人が、困ったときだけ神仏に助けを求めること。


怪我の功名
失敗や何気ない行動が、思いがけずよい結果を生むこと。


後悔先に立たず
物事が終わったあとで悔やんでも、取り返しがつかないこと。


弘法にも筆の誤り
どんな名人でも、時には失敗することがあるということ。


転ばぬ先の杖
失敗しないように、前もって用心しておくこと。


紺屋の白袴
人のための仕事ばかりして、自分のことには手が回らないこと。


「さ行」の有名なことわざ
猿も木から落ちる
どんなに得意な人でも、時には失敗することがあるということ。


三人寄れば文殊の知恵
平凡な人でも、三人集まって考えればよい知恵が出ること。


親しき仲にも礼儀あり
どれほど親しい間柄でも、守るべき礼儀は必要だということ。


釈迦に説法
その道にくわしい人に、分かりきったことを教えようとすること。


朱に交われば赤くなる
人は付き合う相手や環境によって、よくも悪くも影響を受けること。


知らぬが仏
知れば腹が立ったり苦しんだりすることでも、知らなければ平静でいられること。


好きこそ物の上手なれ
好きなことは熱心に取り組むので、上達しやすいこと。


【専門家コラム】
過ぎたるは猶及ばざるが如し
やりすぎることは、足りないことと同じようによくないこと。


雀百まで踊り忘れず
幼いころに身についた習慣やくせは、年をとってもなかなか抜けないこと。


背に腹はかえられぬ
大切なものを守るためには、やむをえずほかのものを犠牲にすることもあるということ。


地震雷火事親父
世の中で恐ろしいものを並べて言った言葉。


【専門家コラム】
船頭多くして船山に上る
指図する人が多すぎると、物事がまとまらず、とんでもない方向へ進むこと。


善は急げ
よいことはためらわず、すぐに実行したほうがよいこと。


千里の道も一歩から
大きな物事も、まず小さな一歩から始まること。


損して得取れ
一時的には損をしても、将来の大きな利益を考えて行動すること。


「た行」の有名なことわざ
立つ鳥跡を濁さず
去る者は、あとを見苦しくないようにきれいにしておくべきだということ。


棚から牡丹餅
思いがけない幸運が、苦労せずに手に入ること。


旅は道連れ世は情け
旅では同行者がいると心強く、世の中では人の情けが大切だということ。


塵も積もれば山となる
小さなものでも、積み重なれば大きなものになること。


【専門家コラム】
月とすっぽん
二つのものの差が非常に大きく、比べものにならないこと。


鉄は熱いうちに打て
物事は、ちょうどよい時機を逃さず行うべきだということ。


【専門家コラム】
灯台下暗し
身近なことは、かえって気づきにくいこと。


遠くの親類より近くの他人
遠くにいる親類より、近くにいる他人のほうが頼りになることがあるということ。


時は金なり
時間はお金と同じように貴重なものだから、無駄にしてはいけないこと。


取らぬ狸の皮算用
まだ手に入っていないものを当てにして、先に計画を立てること。


飛んで火に入る夏の虫
自分から進んで危険や災いの中に入っていくこと。


「な行」の有名なことわざ
ない袖は振れない
持っていないものは、出したくても出せないこと。


泣きっ面に蜂
不幸や困りごとがあるところへ、さらに災難が重なること。


無くて七癖
くせがないように見える人でも、何かしらくせを持っていること。


情けは人の為ならず
人に親切にすると、めぐりめぐって自分にもよいことが返ってくること。


【専門家コラム】
七転び八起き
何度失敗しても、くじけずに立ち上がって努力すること。


七度たずねて人を疑え
物をなくしたときは、人を疑う前に何度も自分でよく探すべきだということ。


習うより慣れよ
人から教わるだけでなく、実際に経験を重ねるほうが身につきやすいこと。


二度あることは三度ある
同じようなことが二度起こると、さらにもう一度起こりやすいこと。


二兎を追う者は一兎をも得ず
同時に二つのものを得ようとすると、結局どちらも得られないこと。


濡れ手で粟
苦労せずに、たやすく大きな利益を得ること。


猫に小判
価値の分からない人に貴重なものを与えても、何の役にも立たないこと。


【専門家コラム】
寝耳に水
突然の知らせや出来事に、ひどく驚くこと。


能ある鷹は爪を隠す
本当に能力のある人は、むやみにそれを見せびらかさないこと。


喉もと過ぎれば熱さを忘れる
苦しいことも、過ぎてしまうとそのつらさや教訓を忘れてしまうこと。


暖簾に腕押し
手ごたえや反応がなく、張り合いがないこと。


「は行」の有名なことわざ
花より団子
見た目や風流より、実際に役立つものや利益を重んじること。


【専門家コラム】
早起きは三文の徳
早起きをすると、何かしらよいことがあるということ。


人の噂も七十五日
人の噂は長く続かず、しばらくすれば忘れられること。


【専門家コラム】
人のふり見て我がふり直せ
他人の行いを見て、自分の行いを反省し改めよということ。


【専門家コラム】
火のない所に煙は立たない
噂が立つからには、何かしら原因があるものだということ。


百聞は一見にしかず
何度も話を聞くより、一度自分の目で見るほうがよく分かること。


瓢箪から駒
思いもよらないことが実際に起こること。


豚に真珠
価値の分からない人に貴重なものを与えても、むだであること。


下手の横好き
下手なのに、その物事が好きで熱心に続けること。


仏の顔も三度
どんなに温和な人でも、無礼や失敗を何度もされれば怒ること。


「ま行」の有名なことわざ
負けるが勝ち
あえて争わずに負けたように見えるほうが、結果としてよい場合があること。


馬子にも衣装
身なりを整えれば、だれでも立派に見えること。


待てば海路の日和あり
今は状況が悪くても、待っていればよい機会がやってくること。


ミイラ取りがミイラになる
人を連れ戻したり助けたりしに行った人が、逆に同じ状態になってしまうこと。


身から出た錆
自分の悪い行いや失敗が原因で、自分自身が苦しむこと。


三つ子の魂百まで
幼いころの性質や習慣は、年をとっても変わりにくいこと。


餅は餅屋
物事にはそれぞれ専門家がいて、専門家に任せるのがよいこと。


「や行」の有名なことわざ
焼け石に水
少しばかりの努力や助けでは、ほとんど効果がないこと。


安物買いの銭失い
安いものを買うと品質が悪く、結局損をすること。


「ら行」の有名なことわざ
楽あれば苦あり
楽しいことがあれば、苦しいこともあるということ。


良薬は口に苦し
自分のためになる忠告は、聞くとつらく感じることが多いということ。


論より証拠
言葉で議論するより、証拠を示すほうが物事をはっきりさせること。


「わ行」の有名なことわざ
我が身をつねって人の痛さを知れ
自分が同じ立場だったらどう感じるかを考えて、人の苦しみを思いやれということ。


【専門家コラム】
禍を転じて福となす
災いをうまく利用して、かえってよい結果につなげること。


渡る世間に鬼はない
世の中には、冷たい人ばかりでなく、親切な人もいるということ。


【専門家コラム】
笑う門には福来たる
いつも明るく笑いのある家や人には、自然と幸運がやってくること。

























