『史記』は、前漢の武帝の時代に司馬遷が編纂した中国最初の正史です。
計130巻からなり、黄帝から前漢武帝までの歴史を紀伝体で記述しています。
内容は12本紀、10表、8書、30世家、70列伝となっており、それぞれ歴代王朝の皇帝の記録、年表、文物や制度の変遷、有力諸侯の年代記、そして様々な人物の伝記を収めています。この形式は、後の中国の正史の基礎となりました。
著者の司馬遷は、代々「太史公」という史官の家系出身で、天文、暦法、占星などの史官業務を家族とともに担っていました。
彼の父、司馬談は歴史の記録整理を行う中で、自らの著書を持つことを計画していましたが、その計画を完成させる前に亡くなりました。司馬遷は父の意志を継ぎ、太史令として史官の記録や宮廷の図書館の書物をもとに資料を集め、前91年頃に『史記』の執筆を完成させました。
この書は、正史の第一として二十四史の中で『漢書』と並び、文学的価値も高く評価される歴史書であり、日本においても古くから読まれ、元号の出典としても12回採用されています。